無事に経営管理ビザを取得して来日することが出来ても、税金の滞納があったり、会社に関する各種手続きができていなかったりした場合には、更新が出来ない可能性ありますので注意が必要です。今回は更新の際に求められる条件などを中心に解説していきます。
経営管理ビザの更新に必要な条件
経営管理ビザを更新する際には、最初に申請したときと同じくらいの厳しい要件が求められます。順調に経営をしていけているか、税金などの管理面は問題ないかなどを、実際に問題ないことを証明する書類を用意して更新可能かを審査されることになります。詳しく見ていきます。
申請者に求められる要件
経営管理ビザの更新の際には、日本において決められた税金をちゃんと納めているか?を税務関係の書類を提出して証明する必要があります。代表的な所でいうと、所得税、法人税、消費税、住民税、保険料などをちゃんと納めていること。また、各種必要な届出を提出していることなど、日本において経済活動をする上での必要な義務をきちんと果たしているかが審査されます。
税金滞納があったり、登記簿の住所の変更を怠っている・・・など、不利な要件がないようにお気をつけください。
事業者として求められる要件
申請時と同じ内容を審査されます。この時に見られるのは会社として必要な届出がなされているか? 納税の義務はちゃんと果たせているか?などが更新の際に見られる内容です。また、当然ですが下記の内容も審査項目になりますのでご確認ください。
- 法人税、所得税、地方税などに滞納がないか
- 従業員さんに適切な給与が支払われているか
- パートアルバイトを含む、従業員の社会保険への加入
- 労働関係法規を守っているか
これらに加え、決算内容も審査の対象となります。
事業者としての義務の履行について(詳しくはこちら)
在留資格「経営・管理」で在留する外国人は、事業の運営を適正に行うことが求められるところ、自らの運営する機関(個人事業を含む。以下同じ。)が、次のとおり各種公的義務の履行に関する法令を遵守する必要があります。
(1)租税関係法令を遵守していること
国税(所得税、法人税等)及び地方税(住民税等)を適切に納付している必要があります。納税義務の不履行により刑を受けている場合や、刑を受けていなくても高額の未納や長期間の未納などが判明した場合等、納税義務を履行していない場合には消極的な要素として評価されます。また、消費税の不正受還付等により重加算税賦課決定処分があった機関については、行為の悪質性に鑑み、特に消極的な要素として評価されます。
(2)労働関係法令・社会保険関係法令を遵守していること
雇用する従業員(アルバイトを含む。以下同じ。)の労働条件が労働関係法令に適合していることが必要です。また、労働保険の適用事業所である場合は、当該保険の加入手続を適正に行い、保険料を適切に納付していることが求められます。その他、健康保険及び厚生年金保険の適用事業所である場合には、当該保険の加入手続を行っていること、及び雇用する従業員の健康保険及び厚生年金保険の資格取得手- 5続を行い、保険料を適切に納付していることが求められます。これら労働関係法令・社会保険関係法令に適合していないと認められる場合には消極的な要素として評価されます。
決算の内容=事業の安定性・継続性を証明する為
決算書を提出するのも重要な項目になります。これは申請時に事業計画書にも書いた「事業の安定性・継続性」を入管に対して証明する為の資料になるためです。この時にちゃんと黒字が出ているのであれば大丈夫ですが、もし赤字決算になってしまった場合には、赤字決算になってしまった理由や今後どのように改善していくのか?を事業計画に落とし込み、「次期はこうやって黒字転換する動きをとります」という計画を書いて提出します。
※ちなみに確実に更新したい場合や、今後、更新期限を3年や5年の更新期間を取得したい方、帰化・永住まで視野に考えている方は、黒字決算であっても事業計画を書いて中長期的な目線を入管に示しておくと、その後の更新にも良い影響を与えます。
事業の継続性について(長くなりますので、確認したい方だけご確認ください)
事業活動においては様々な要因で赤字決算となり得るところ、当該事業の継続性については、今後の事業活動が確実に行われることが見込まれることが必要です。しかしながら、実際の場面においては、当該事業の経営・管理という在留活動を継続して行うことができるかという観点から、赤字決算等が今後の事業活動の継続性に疑問を生ぜしめる場合があり得る反面、通常の企業活動の中でも、諸般の事情により赤字決算となっていても、在留活動の継続性に支障はない場合も想定されます。
よって、事業の継続性については、単年度の決算状況を重視するのではなく、貸借状況等も含めて総合的に判断することが必要であることから、直近二期の決算状況により次のとおり取り扱うこととします。
(1)直近期又は直近期前期において売上総利益がある場合
a 直近期末において欠損金がない場合
直近期において当期純利益があり同期末において剰余金がある場合には、事業の継続性に問題はありません。また、直近期において当期純損失となったとしても、売上総利益があることを前提とし、剰余金が減少したのみで欠損金が生じないものであれば、必ずしも、当該事業を継続する上で重大な影響を及ぼすとまでは認められないことから、この場合においても事業の継続性を認めることとします。
したがって、直近期末において剰余金がある場合又は剰余金も欠損金もない場合には、事業の継続性があると認めることとします。
b 直近期末において欠損金がある場合
(1)直近期又は直近期前期において売上総利益がある場合
a 直近期末において欠損金がない場合
直近期において当期純利益があり同期末において剰余金がある場合には、事業の継続性に問題はありません。また、直近期において当期純損失となったとしても、売上総利益があることを前提とし、剰余金が減少したのみで欠損金が生じないものであれば、必ずしも、当該事業を継続する上で重大な影響を及ぼすとまでは認められないことから、この場合においても事業の継続性を認めることとします。
したがって、直近期末において剰余金がある場合又は剰余金も欠損金もない場合には、事業の継続性があると認めることとします。
b 直近期末において欠損金がある場合
(ア)直近期末において債務超過となっていない場合
事業計画、資金調達等の状況により、将来にわたって事業の継続が見込まれる可能性を考慮し、今後1年間の事業計画書及び予想収益を示した資料の提出を求めることとし、事業が行われていることに疑義があるなどの場合を除いて、原則として事業の継続性があると認めます。ただし、当該資料の内容によっては、中小企業診断士や公認会計士等の企業評価を行う能力を有すると認められる公的資格を有する第三者が評価を行った書面(評価の根拠となる理由が記載されているものに限る。)の提出を更に求める場合もあります。
(イ)直近期末において債務超過であるが、直近期前期末では債務超過となっていない場合
債務超過となった場合、一般的には企業としての信用力が低下し、事業の存続が危ぶまれる状況となっていることから、事業の継続性を認め難いものですが、債務超過が1年以上継続していない場合に限り、1年以内に具体的な改善(債務超過の状態でなくなることをいう。)の見通しがあることを前提として事業の継続性を認めることとします。
具体的には、直近期末において債務超過ですが、直近期前期末では債務超過となっていない場合には、中小企業診断士や公認会計士等の企業評価を行う能力を有すると認められる公的資格を有する第三者が、改善の見通し(1年以内に債務超過の状態でなくなることの見通しを含む。)について評価を行った書面(評価の根拠となる理由が記載されているものに限る。)の提出を申請者に求めることとし、当該書面を参考として事業の継続性を判断することとします。
(ウ)直近期末及び直近期前期末ともに債務超過である場合
債務超過となって1年以上経過しても債務超過の状態でなくならなかったときは、事業の存続について厳しい財務状況が続いていること及び1年間での十分な改善がなされていないことから、原則として事業の継続性があるとは認められません。ただし、新興企業(設立5年以内の国内非上場企業をいう。以下同じ。)が独自性のある技術やサービス、新しいビジネスモデル等に基づき事業を成長させようとする場合、設立当初は赤字が続くことも想定されます。そのため、新興企業については、以下の書類の提出を申請人に求めることとし、これら提出書類の内容を踏まえた結果、債務超過となっていることについて合理的な理由があると判断される場合には、事業の継続性について柔軟に判断することとします。
役員報酬を抑えすぎていませんか?
税理士さんや経営コンサルのアドバイスで、役員報酬をかなり抑えている方が良くいらっしゃいますが、これは経営管理のビザの更新の際にはマイナスに働き、場合によっては更新が出来なくなる可能性があるため注意が必要です。入国管理局は役員報酬を「経営者さんの生活の基礎となる報酬額」とみなしているため、10万円などに設定していた場合は「ちゃんと生活していけるの?」と判断されてしまいます。更新の為には少なくとも18~20万円以上に設定しておく必要がありますので、この点には注意が必要です。
経営管理ビザ:更新の際の必要書類(カテゴリー4の場合を例に解説します)
それでは経営管理ビザの更新の際に必要な代表的な書類を解説していきます。会社の経営状態によっても追加が必要な場合がございますので、あくまでも最低限の書類とお考えください。
- 在留期間更新許可申請書 1通
- 写真(指定の規格を満たした写真を用意し、申請書に添付して提出)
- パスポート及び在留カード 提示・・・行政書士に依頼する場合、一度お預かりさせていただきます。
- 外国法人の源泉徴収に対する免除証明書その他の源泉徴収を要しないことを明らかにする資料 1通(カテゴリーにより異なる)
- 直近の年度の決算文書の写し 1通
- 住民税の課税(又は非課税)証明書及び納税証明書(1年間の総所得及び納税状況が記載されたもの) 各1通
上記に加え、申請理由書や事業事業計画書などを適宜準備して申請します。
最初に4か月で取得した場合は、1回目の更新がほぼ新規になります。
これは当然の話なのですが、最初に4か月の期間で取得して来日してから口座開設・事務所契約・法人登記・各種役所への届出などを全て対応される予定でビザを取得された場合には、1回目の更新時には事務所の写真などで事務所要件を満たしていることや、登記簿で法人設立と資本金の額などが全て分かるようにして更新申請する必要がありますので、新規取得と同じくらいの書類が必要になります。事業をスタートしながらこれらの手続きが必要になるため、すごく大変な手間がかかりますので、お近くの行政書士にご相談いただくことをおススメします。
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