日本にお住まいになって長くなってくると、永住許可を検討される方が増えてきます。今回は永住許可申請をする際に必要となる要件を解説していきますので、永住権を検討している方や、いずれは申請しようと考えている方はご確認ください。
永住許可を取得するメリットをご紹介
先に永住許可を取得することで得られるメリットについてご紹介します。(注意点もございます)
更新が必要なくなる
技・人・国のビザや経営管理などのビザでは、更新期限が必ずついているのですが、永住許可の場合は更新が不要になりますので、面倒な手続きや手間がなくなります。特に最近は審査期間がとっても長いので、更新の許可が下りるまではなにかとストレスですが、そういった思いをしなくて済むのが第一のメリットです。
活動の制限がなくなります
これまで就労ビザで在留していた方は、予め許可された範囲の活動しか認められていなかったのが、永住許可を取得すると活動の制限がなくなります。例えば、経営管理ビザで活動していた方が、副業で昼間は会社勤めをするといった活動は制限がかけられていたのがなくなり、自由に活動することが可能になります。(逆に会社勤めの方が、週末起業のように経営活動をすることも問題なくなります)
社会的信用が上がります
永住権を取得することのもう一つのメリットが、住宅ローンなどの長期の銀行ローンなども組みやすくなる点も大きなメリットです。永住許可を取得できる方は、既に長年日本に住まれていたり、短期で永住が認められる高度専門職の方は所得が多かったりなど、永住許可を受けることが出来る方は、かなりの信用が認められるためです。
高度専門職の方はご注意ください
良い面が多い永住許可ですが、高度専門職のビザの方は注意が必要です。それは高度専門職では一定の要件を満たせば親の帯同や家事使用人の帯同が認められる場合があるのですが、永住許可を選択した場合には、これらの高度専門職特有のメリットが使えなくなります。
法律上の要件
(1)素行が善良であること
法律を遵守し日常生活においても住民として社会的に非難されることのない生活を営んでいること。
具体的には以下の内容に該当していない者であることと定義されています。
■日本国の法令に違反して、懲役、禁錮又は罰金に処せられたことがある者
ただし、以下のいずれかに該当する者である場合はには、これに該当していないものとして扱う。
- 刑の消滅の規定の適用を受ける者
- 執行猶予の言渡しを受けた場合で当該執行猶予の言渡しを取り消されることなく当該執行猶予の期間を経過した者
- 復権により資格が回復した者
■少年法による保護処分(少年法第24条第1項第1号又は第3号)が継続中の者
■日常生活又は社会生活において、違法行為又は風紀を乱す行為を繰り返し行う等素行善良と認められない特段の事情がある者。(これは例えば道路交通法違反等軽微な法違反であっても繰り返し行う者はこれに該当します)
(2)独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること
日常生活において公共の負担にならず、その有する資産又は技能等から見て将来において安定した生活が見込まれること。生活保護を受給されていたり、生活が不安定だと判断されると難しいです。大体年収ベースで300万円を超えていることが目安のようですが、他の事情等の総合判断により許可・不許可が異なります。また経営管理ビザで在留されている場合には、経営する会社の安定性・継続性も重要な審査ポイントとなります。
(3)その者の永住が日本国の利益に合すると認められること
ア 原則として引き続き10年以上本邦に在留していること。ただし、この期間のうち、就労資格(在留資格「技能実習」及び「特定技能1号」を除く。)又は居住資格をもって引き続き5年以上在留していることを要する。
ここで言う「引き続き」ですが、在留資格が途切れることなく在留を続けることをいいます。再入国許可を受けず単純出国したり、海外滞在中に再入国許可が失効したりすると、在留資格が消滅し、在留が継続していたことにはなりません。また、再入国許可を受けて出国していても、長期に渡って海外で生活しているような場合には、生活の本拠が日本にないとされ、永住許可されない可能性がでてきます。
イ 罰金刑や懲役刑などを受けていないこと。公的義務(納税、公的年金及び公的医療保険の保険料の納付並びに出入国管理及び難民認定法に定める届出等の義務)を適正に履行していること。
年金や健康保険料を納付していることはもちろんですが、「適正に」履行していることが要件とされていますので、支払ってはいるが遅れて納付していた場合などは、国益適合要件を満たさず不許可となる可能性が高いです。
ウ 現に有している在留資格について、出入国管理及び難民認定法施行規則別表第2に規定されている最長の在留期間をもって在留していること。
当面の間、在留期間「3年」を有する場合は、「最長の在留期間をもって在留している」ものとして取り扱うとされています。
エ 公衆衛生上の観点から有害となるおそれがないこと。
具体的には感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律6条で規定する一類感染症、二類感染症、指定感染症、新感染症の罹患者または麻薬、大麻、あへん及び覚せい剤等の慢性中毒者等は、公衆衛生上の観点から有害となるおそれがあるものとして取り扱われます。
※ ただし、日本人、永住者又は特別永住者の配偶者又は子である場合には、(1)及び(2)に適合することを要しない。また、難民の認定を受けている者、補完的保護対象者の認定を受けている者又は第三国定住難民の場合には、(2)に適合することを要しない。
原則10年在留に関する特例
永住許可の要件として、「その者の永住が日本国の利益に合するとみとめられること」(国益適合要件)が必要ですが、この要件には特例があり、以下の要件を備える場合は申請人に有利な取扱いを受けます。
日本人、永住者及び特別永住者の配偶者の場合、実体を伴った婚姻生活が3年以上継続し、かつ、引き続き1年以上日本に在留していること。その実子または特別養子の場合は、引き続き1年以上日本に在留していること
日本人、永住者(特別永住者)の配偶者の場合、実体を伴った婚姻関係が3年以上継続し、1年以上継続して在留していれば永住申請が可能です。ここでの配偶者は「日本人の配偶者等」などのビザを取得している必要はなく、実体を伴った婚姻生活が継続してれば、他のビザ(例えば技術・人文知識・国際業務など)でも問題はありません。
ただし、「実体を伴った」となっている為、仮に別居婚などの場合には実体を伴ったとみなされませんので注意です。
「定住者」の在留資格を有する者については、「定住者」の在留資格を付与された後、引き続き5年以上日本に在留していること
「日本人の配偶者等」の在留資格を有していた者が在留資格変更許可を受けて「定住者」の在留資格をもって在留しているような場合は、「定住者」の在留資格を付与された後、引き続き5年以上は日本に在留していないときであっても、「日本人の配偶者等」の在留資格での在留と合わせて5年以上であれば、この特例に適合するものとされます。また、難民認定を受けた者の場合は、認定後引き続き5年以上日本に在留していることが求められ、審査期間中の在留については考慮されません。
高度専門職に規定するポイント計算を行った場合に70点以上を有している者であって、次のいずれかに該当するもの
- 「高度人材外国人」として3年以上継続して日本に在留していること
- 3年以上継続して日本に在留している者で、永住許可申請日から3年前の時点を基準として高度専門職省令に規定するポイント計算(下記PDF参照)を行った場合に70点以上の点数を有していたことが認められること
高度専門職省令に規定するポイント計算を行った場合に80点以上を有している者であって、次のいずれかに該当するもの
- 「高度人材外国人」(ポイント80点以上)として1年以上継続して日本に在留していること
- 1年以上継続して日本に在留している者で、永住許可申請日から1年前の時点を基準として高度専門職省令に規定するポイント計算(上記PDF参照)を行った場合に80点以上の点数を有していたことが認められること
永住許可に関するガイドラインのまとめ
永住申請をする際の基本的な要件をまとめました。10年以上継続して在留していて、生活力に問題がなく、犯罪など素行に問題がない場合は申請がしやすいと思いますが、10年在留していなくても、一定の要件を満たせば申請出来る場合もありますので、この記事を参考にして判断していただければと思います。
就労系ビザに関する料金表(経営管理を除く)
項目 | 料金 | 備考 |
---|---|---|
在在留資格認定証明書申請 | 100,000円 | |
在留資格変更申請 | 100,000円 | 他の在留資格からの変更 |
在留資格更新申請 | 50,000円 | 現在のVISAを更新・印紙代4000円 |
就労資格証明書申請(転職あり) | 100,000円 | 印紙代1,200円 |
就労資格証明書申請(転職なし) | 30,000円 | 印紙代1,200円 |
永住許可申請 | 150,000円 | 印紙代8,000円 |
帰化許可申請 | 200,000円 | |
資格外活動許可申請 | 30,000円 | |
再入国許可申請 | 20,000円 | 印紙代3,000円(1回限り)・印紙代6,000円(数次) |