外国人が来日して、学業や仕事を続けるためには、ビザの更新をしていく必要があります。現在所持している在留資格によっても手続きは異なりますが、今回は経営管理のビザの更新方法について解説していきます。経営が上手く行っているかどうかもポイントになりますので、ご確認ください。
経営管理ビザは取得も更新も難しい
ビザの種類は沢山ありますが、その中でも審査が特に厳しいのが経営管理ビザです。最初に取得するときや1回目の更新の際には大体1年しか認められないことが一般的です。その中でも無事に更新出来れば良いのですが、会社の経営があまりにも上手く行っていなかったり、税金の未納があったりする場合には更新もままならないことがありますので注意が必要です。
経営管理ビザの在留期限について
経営管理ビザの在留期間は「5年、3年、1年、6月、4月又は3月」となっています。ほとんどの場合は最初は1年で取得し、最初の更新の際は1年で更新をします。そして会社の経営状態が良く、安定性・継続性に問題がないと判断され、申請者の納税状況や素行が良好であった場合に、3年の更新が出来るようになるのが一般的です。
※長く安定して経営をして行けて、更新期間も長くなってきたら、永住許可を検討しても良いかも知れません。
在留資格の更新とは(入管法第21条)
在留資格を有して在留する外国人は,原則として付与された在留期間に限って我が国に在留することができることとなっているので,例えば,上陸許可等に際して付与された在留期間では,所期の在留目的を達成できない場合に,いったん出国し,改めて査証を取得し,入国することとなると外国人本人にとって大きな負担となります。
そこで,入管法は,法務大臣が我が国に在留する外国人の在留を引き続き認めることが適当と判断した場合に,在留期間を更新してその在留の継続が可能となる手続を定めています。
在留期間の更新を受けようとする外国人は法務省令で定める手続により,法務大臣に対し在留期間の更新許可申請をしなくてはなりません。
引用:出入国在留管理局HP
経営管理ビザの更新時は何を審査される?
経営管理ビザは取得も更新も難しいと先ほど書きました。その理由としては取得のときと同じくらいの条件が求められるからと言うのが理由となります。取得・更新時のいずれも審査される内容は下記の3点です。
- 申請者の届出義務(納税義務も含む)を果たしている
- 事業者の義務(納税・保険・法令順守・各種届出含む)を履行している
- 事業の安定性・継続性が決算書や事業計画書から読み取れる
この辺りは前にも別の記事で書いた通りですので、参考にしてください。
運営する会社が赤字決算の場合は?
1年目から黒字にするのはかなり大変ですが、最初の年度は多少赤字でもそこまでは問題ありません。次期以降に黒字に転じる経営計画を丁寧に書いて提出すれば更新出来る可能性は高いでしょう。問題は2期目やそれ以降も赤字で終わっている場合には注意が必要です。この場合は入念な経営計画を提出することは勿論ですが、場合によっては公認会計士や中小企業診断士などの専門家に経営計画を確認してもらって、次期以降の改善内容を経営レポートのような形で出していただいた方が良いケースもございます。もし収支が思うように上がってきていない場合にはそういった手段もご検討下さい。
更新の際にはいつから手続きを始めれば良い?
ビザの更新の際は、在留期間の満了する日以前※6か月以上の在留期間を有する者にあっては在留期間の満了する概ね3か月前から更新申請が可能になります。経営管理ビザの場合は提出書類も多く、また事業の安定性・継続性を示す為に決算書に加えて事業計画書や収支計画書などを一緒に提出することも多いため、早めの準備が望ましいです。
申請時の控えをご用意ください。
経営管理ビザを取得された時の申請の控えはお持ちでしょうか? もしお持ちでない方は早めにご相談をお願いいたします。というのも、更新の際は(これは経営管理に限らず)一番最初に申請した時の内容と相違がないように確認しながら進める必要があり、申請した時の内容が分からないと余計な時間がかかってしまいます。そのため、他の行政書士さんにご依頼をされていたとしたら、申請の副本(控え)を絶対に持っているですので、事前にご確認いただけますようお願いいたします。
更新時の必要書類・・・カテゴリー3の場合
- 在留資格更新許可申請書
- 証明写真(既定の規格あり)
- パスポート及び在留カード(原本を提示)
- 前年分の職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表(受付印のあるものの写し)
- 直近の年度の決算文書の写し
- 住民税の課税(又は非課税)証明書及び納税証明
この辺りの書類に加え、事業の安定性・継続性を示す資料と申請理由書を用意して申請することになります。審査が進む中で追加資料の提出を求められる場合もありますので、その際は、入管からハガキなどで通知が来ますので、速やかに提出します。
在留資格更新許可申請書・・・入管のHPからダウンロード可能です
更新申請をする際にはこちらの「在留期間更新許可申請書」に記入して行くことになります。出入国在留管理局のHPからダウンロードしてお使いいただきます。
手数料
「経営管理」ビザを更新申請が無事に許可された際には4000円の手数料がかかり、収入印紙で納付することになります。
※ちなみに金券ショップで買うと、少しだけ安く買えます。(数十円ですが・・・笑)
更新申請の際に気を付けること
更新申請のフローとしては、申請書を書いて、添付書類を集めて提出する。それだけなのですが、更新申請の場合には事前に対応したり確認しておかなければならないことが多いので、以下の項目を事前にご確認ください。
個人・事業者ともに納税に未納がないか?
申請者が納税義務をちゃんと果たしているかは、ビザの審査においては重要項目です。事業者はもちろん、申請者自身の所得税や住民税なども含まれていますので、未納がないか必ず事前にご確認ください。(ちょっとした払い忘れ、勘違いなどでもビザの申請は引っかかります)
登記簿の代表者住所は最新の住所になっていますか?│届出義務の履行
忘れやすい項目なので注意が必要です。外国人の方は引越しをする度に出入国在留管理局や役所に届出が必要になるのですが、商業登記簿謄本の代表者住所もその都度、書き換えておく必要があります。最新の住所に書き換わっているか?こちらも事前にご確認をお願いいたします。
従業員の社会保険の整備&法令を遵守した労務管理
従業員を雇っている場合には、社会保険への適切な加入も審査項目です。正社員だけでなく、パート・アルバイトなどの非正規の方も対象になります。また、従業員を不当に安く雇用していたり、長時間労働を強いていたりなど、労働基準法が守られていない場合はかなり不利に働きますので、日ごろから法令の遵守は徹底するようにしてください。
事業の安定性・継続性
経営管理ビザの重要ポイントです。新規申請の際も大事になるポイントでしたが、更新の際には実際に事業を行った結果である「決算書類」を元に審査されますので、元々提出していた経営計画に対してどの程度、その通りに出来ていたかが審査されます。
ちなみに初年度から黒字というのは少し難しいかも知れません。会社を作ってからその後にビザを取得して、来日して住む場所を決めて・・・と言う風に、最初の数か月は本業もままならないことが一般的だからです。仮に赤字だった場合も、入管側はある程度事情を理解していますので、理由書と2年目の経営計画書で「こういった理由で1年目は赤字が出たが、2年目からは黒字転換できる見通しである」ということを、実際の売上の推移と共に、丁寧に説明すれば更新も問題ないでしょう。
料金表(経営管理)│Price List
VISAの取得、更新等の費用
項目 | 料金 | 備考 |
---|---|---|
在留資格認定証明書申請 | 220,000円 | 不許可からの再チャレンジは 別途見積要 |
在留資格変更申請 | 170,000円 | 他の在留資格からの変更 |
在留資格更新申請 | 150,000円 | 赤字決算の場合は別途見積 印紙代4,000円 |
永住許可申請 | 150,000円 | 印紙代8,000円 |
帰化許可申請 | 250,000円 | |
資格外活動許可申請 | 30,000円 | |
再入国許可申請 | 20,000円 | 印紙代3,000円(1回限り)・印紙代6,000円(数次) |
会社設立に必要な費用
項目 | 料金 | 備考 |
---|---|---|
定款作成&定款認証行政書士報酬 | 80,000円 | |
公証役場手数料 | 54,000円 | 資本金500万の場合 (定款の謄本代含む) |
法人登記(司法書士が対応) | 6~90,000円 | 担当の司法書士により異なる |
登録免許税 | 150,000円 | |
法人印3点セット | 10,000円~ | ご自身で用意の場合は不要 |
許認可が必要の際 | 別途実費請求 | 要見積 |
まとめ
経営管理ビザに限らず、更新は前回までの申請をしっかりと確認しながら進めて行きますので、申請の控えをお手元にお持ちください。またもし、お持ちでない場合には、早めにお申し出いただけますようお願いいたします。